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十年前に生き残った五人?
そうよ。私はその一人だもの。
当時私は十五歳、あなたは十一歳。
―「Parallel World」
そうよ。私はその一人だもの。
当時私は十五歳、あなたは十一歳。
―「Parallel World」
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僕はもう必要ない。
そう思い知らされたあの日、僕は全てを憎み、全てを捨てた。
―「Parallel World」
そう思い知らされたあの日、僕は全てを憎み、全てを捨てた。
―「Parallel World」
10 years ago, in Minakami hamlet.
It all started from here.
The boy name is Ryuki Aoi.
When he met a man, the tragedy began.
It all started from here.
The boy name is Ryuki Aoi.
When he met a man, the tragedy began.
三月十七日。
春一番が過ぎ、ようやく暖かくなり始めても海沿いは未だに寒さが残っていた。
さほど遠くない場所に見える港からは凪いだ海を滑るように客船が出港し、残った人々が船に向かって手を振っているのが見える。
春一番が過ぎ、ようやく暖かくなり始めても海沿いは未だに寒さが残っていた。
さほど遠くない場所に見える港からは凪いだ海を滑るように客船が出港し、残った人々が船に向かって手を振っているのが見える。
志島の抱く憎悪は、思い込みと勘違いから生まれたものだった。
「刑事の兄ちゃんなら知ってるだろ。こいつが俺の親父とおふくろを殺した犯人だって」
夏の追憶から現実に意識が戻る。
志島の言った言葉が噛み砕けず思考が滞っていたが、意識が目の前の現実に戻るにつれようやく理解した。
「刑事の兄ちゃんなら知ってるだろ。こいつが俺の親父とおふくろを殺した犯人だって」
夏の追憶から現実に意識が戻る。
志島の言った言葉が噛み砕けず思考が滞っていたが、意識が目の前の現実に戻るにつれようやく理解した。
「老夫婦殺害事件…?」
夏の記憶が曖昧なリオには聞き覚えのない出来事だった。
志島の言葉を鍵に、鏑木は夏に起きた事件の記憶を漁る。
何に気付いたのか、ハッとした顔で暁は志島を見た。
夏の記憶が曖昧なリオには聞き覚えのない出来事だった。
志島の言葉を鍵に、鏑木は夏に起きた事件の記憶を漁る。
何に気付いたのか、ハッとした顔で暁は志島を見た。
十一月十九日。
「―…した。CMの後、引き続きニュースをお知らせいたします」
騒がしい邦楽の伴奏が耳につき、薄れていた眠気が掻き消されていく。
晩秋の空は既に日が傾き始め、適度な遮光効果があるブルーシートのテント内はそれよりも暗い。
「―…した。CMの後、引き続きニュースをお知らせいたします」
騒がしい邦楽の伴奏が耳につき、薄れていた眠気が掻き消されていく。
晩秋の空は既に日が傾き始め、適度な遮光効果があるブルーシートのテント内はそれよりも暗い。
時は少し遡り、リオがテントを出ていった後。
僕はリオを追いかけず、テントに残った。
ああいう時は誰が何を言おうと馬の耳に念仏だ。頭が冷えるまで放って置けばいい。
八つ当たりに腹を立てたとか、決してそういう大人気ない理由ではない。
僕はリオを追いかけず、テントに残った。
ああいう時は誰が何を言おうと馬の耳に念仏だ。頭が冷えるまで放って置けばいい。
八つ当たりに腹を立てたとか、決してそういう大人気ない理由ではない。
十月五日。
「兄ちゃん!リオの兄ちゃんじゃねえか!」
公園で顔を洗っていた志島は、リオの姿を見るなり大慌てで走り寄ってきた。
その目には涙が溜まっているのが見える。
「良かった…!死んじまったんじゃねーかってずっと心配してたんだぜ」
「…すいません、でした」
皺だらけの顔を更に皺くちゃにして泣く志島を前に、リオはただ謝るしかできなかった。
「兄ちゃん!リオの兄ちゃんじゃねえか!」
公園で顔を洗っていた志島は、リオの姿を見るなり大慌てで走り寄ってきた。
その目には涙が溜まっているのが見える。
「良かった…!死んじまったんじゃねーかってずっと心配してたんだぜ」
「…すいません、でした」
皺だらけの顔を更に皺くちゃにして泣く志島を前に、リオはただ謝るしかできなかった。
光が、見える。
ゆらゆらと形を変えるそれは碧く、眩い。
水中から空を見上げて漂っているような、ふわふわした気分だ。
ぼんやりした意識の中、最後に見た現実の景色を思い出していた。